SPI3とGABは、どちらも採用選考で使われている適性検査です。 どちらを選ぶべきかは導入環境によって変わり、また、かなりのケースでこの2つがベストと言えないことがあります。
導入しやすいWebテスト形式について、徹底比較します。
能力検査の内容の違い
| SPI3 | GAB | |
|---|---|---|
| 科目内容 | 言語分野: 二語の関係、語句の意味、文の並び替え、長文読解。非言語分野: 座席配置等の推論問題、表を読む問題例が公式に掲載されている | 言語理解テスト(論理): 400〜800字程度の主張文のロジック / 計数理解テスト(図表理解): 図表理解、四則演算、百分率、効率的な作業手順 / 英語(大意): 50〜80語程度の英文(テストセンター方式のみ) |
学力テスト形式の能力検査の最大のポイントは、学術研究の進展により仕事の成果の予測力が引き下げられてきたことです。 かつて期待されていた使い方ができないことが分かっています。
近年の研究にもとづくと、総合得点で偏差値35または下位7%水準以下だけを弱いマイナス材料として残すという使い方が適切です。
これは直接不採用を決める点ではなく、かなり低い得点が出たときに、仕事で必要になる理解・処理能力に不足があることに着目する目安です。 たとえば、面接やワークサンプルなどでその仕事への適性をプラスに評価できる材料が確認できなければ、不通過とする判断は妥当です。
SPI3もGABも、能力を数値として返すので、スコアに比例した評価として使いたくなります。 しかし、その数字の大小をそのまま仕事の能力差に置き換えられない、という点が研究成果です。
たとえば偏差値65の応募者を偏差値50の応募者より高く評価するといった、細かな順位づけには使えません。 また、応募者が多いから例年45で切っていた基準を今年は55で切る、といった足切りの調整としても機能しません。 これは、切り捨てた層に仕事で活躍しうる人材が普通に含まれうる、という意味です。
導入するなら、自社応募者の下位を分離できる水準かを確認する必要があります。 必要以上に難しい課題は、学習経験や問題形式への習熟など、一般能力以外の差を増やす可能性があります。
なお、GABはテストセンター方式の英語テストも別途利用できますが、日本で実施する場合、本来の意図である基礎的な知的能力の計測にとってはノイズ成分が増えます。
英語ノイズを無視できるほど能力検査の構成を軽く見るなら、そもそも能力検査を導入する理由も弱いとも言えます。
性格分析項目が多すぎるとの指摘
性格検査は、いずれも科学標準のBig5ではない独自の尺度を性格としてレポートします。
| SPI3 | GAB(OPQ) | |
|---|---|---|
| 性格尺度 | 社会的内向性、内省性、身体活動性、持続性、慎重性、達成意欲、活動意欲、敏感性、自責性、気分性、独自性、自信性、高揚性、従順性、回避性、批判性、自己尊重性、懐疑思考性 | 説得力、指導力、独自性、外向性、友好性、社会性、謙虚さ、協議性、面倒み、具体的事物、データ、美的価値、人間、オーソドックス、変化志向、概念性、創造的、計画性、緻密、几帳面、余裕、心配性、タフ、抑制、楽観的、批判的、行動力、競争性、上昇志向、決断力 |
分析項目にくらべて追試でとり出せた性格成分が少ないという研究報告があり、仕事の成果予測に使える根拠は弱いと言えます。
性格分析の詳細は、同等の機能を提供している玉手箱の解説を参照してください。
月平均約35名から、GABはSPIより安くなる
| SPI3 Webテスティング | WebGAB | |
|---|---|---|
| 購入の選択肢 | 基礎能力+性格 | 言語・計数+OPQ |
| 検査時間 | 性格+基礎能力で約65分 | 合計80〜90分 |
| 料金 | 4,000円/名 | プランB: 年120万円+1,100円/名 |
| 公式サイト | 詳細 | 詳細 |
主機能だけではSPIとの勝敗が自動的に決まらないため、最後は利用人数で比較します。
SPIを4,000円/名、WebGABプランBを年120万円+1,100円/名として単純比較すると、年間約414名、月平均約35名からWebGABの方が安くなります。 より大規模な利用では、固定費が高い代わりに受検単価がさらに下がるプランもあります。
ただし、大規模利用が前提であるだけに、検査の妥当性を高めにくい点は明確な課題です。 弱い判断基準を大人数へ展開する構造になりやすいためです。
最新の研究成果に学ぶなら、SPIとGABは職務との関連性を追跡しにくい2つの検査をセットにしているので、適性検査本来の目的からは優先順位は低いと言えます。
まずはビッグファイブ性格検査を中心とする他の有力選択肢を確認することが推奨です。