SPI3とCUBICは、どちらも採用選考で使われている適性検査です。 CUBICは能力検査の科目や難易度を細かく選べる点に特徴がありますが、細かく分かれていること自体を予測力の高さとは評価できません。
導入しやすいWebテスト形式について、徹底比較します。
能力検査の内容の違い
| SPI3 | CUBIC | |
|---|---|---|
| 科目内容 | 言語分野: 二語の関係、語句の意味、文の並び替え、長文読解。非言語分野: 座席配置等の推論問題、表を読む問題例が公式に掲載されている | 言語、数理、図形、論理、英語。基礎編・応用編・総合編があり、計32種を組み合わせられる |
学力テスト形式の能力検査の最大のポイントは、学術研究の進展により仕事の成果の予測力が引き下げられてきたことです。 かつて期待されていた使い方ができないことが分かっています。
近年の研究にもとづくと、総合得点で偏差値35相当以下の下位層だけを弱いマイナス材料として残すという使い方が適切です。
35は直接不採用を決める点ではなく、かなり低い得点が出たときに、仕事で必要になる理解・処理能力に不足があることに着目する目安です。 たとえば、面接やワークサンプルなどでその仕事への適性をプラスに評価できる材料が確認できなければ、不通過とする判断は妥当です。
CUBICには出題調整の余地がある
そのうえで、能力検査を導入するなら最初に見るべきなのは難易度です。 自社の応募者のうち、最低限の理解・処理能力に届かない層を分離できる最も低い難易度を選ぶことが重要です。
CUBICは基礎編・応用編・総合編を選べますが、これは「難しいほど良い」という意味ではありません。 必要以上に難しくすると、学校教育、受験経験、問題形式への習熟など、一般的な認知能力から離れた差まで得点に入りやすくなります。
CUBICの利点は、最も難しい検査を選べることではなく、必要な科目と難易度だけを選べることです。 能力検査をどうしても残す場合には、この自由度はSPIより使いやすいでしょう。
性格検査は分析項目が多すぎる
性格検査は、いずれも科学標準のBig5ではない独自の尺度を性格としてレポートします。
| SPI3 | CUBIC(性格+社会性) | |
|---|---|---|
| 性格尺度 | 社会的内向性、内省性、身体活動性、持続性、慎重性、達成意欲、活動意欲、敏感性、自責性、気分性、独自性、自信性、高揚性、従順性、回避性、批判性、自己尊重性、懐疑思考性 | 性格: 内閉性、客観性、身体性、気分性、持続性、規則性、競争性、自尊心、慎重性、弱気さ / 社会性: 積極性、協調性、責任感、自己信頼性、指導性、共感性、感情安定性、従順性、自主性、モラトリアム傾向 |
性格については、ビッグファイブではないため仕事の成果予測に使える根拠はありません。 SPIは著名であるため、学者による過去の分析があります。その結果、ラベルの数ほど性格成分は観測できず、職務予測力も低い結果でした。 CUBICにはたどれる研究はありません。他の独自尺度の研究も参考にすると、提供しているラベルの数が多すぎ、性格成分を取り出せない可能性があります。
非ビッグファイブの問題は、計測したツール以外の方法で検証できないことです。 これは尺度名を見た人が、同じ心理状態を思い浮かべるとは限らず、人によって解釈が違うという意味です。
たとえば「慎重性が高い」と書かれていても、ある面接官は「確認を怠らない人」を想像し、別の面接官は「決断が遅い人」を想像するかもしれません。
ビッグファイブは、幅広い人々が知覚する性格を直接取り出す研究成果なので、解釈が一致します。 広い環境で繰り返し観察されたという決定的な点で、科学研究ではビッグファイブが基準になっています。
欲求・意欲で判断するのはリスクがある
CUBICの個人特性分析のうち、10の指標が性格以外の独自心理尺度です。
| CUBIC分類 | 尺度 | 研究上近い領域 |
|---|---|---|
| 欲求・意欲 | 達成欲求、自律欲求、求知欲求、危機耐性、勤労意欲、顕示欲求、支配欲求、親和欲求、秩序欲求、物質的欲求 | 仕事への動機づけ |
欲求・意欲は一般研究の動機づけを類推でき、その研究を参考に割り引いた値が参考になります。
仕事への動機づけ(モチベーション)から、その後の職務成果への関係を調べた近年のメタ分析では、仕事のパフォーマンスを統制したうえで β=.143 でした。
いちおうは正の値ではありますが、これは平均的な関係としては小さい値です。 個人レベルでは、職務成果の分布が大きく重なり、意欲の高低と職務成果の順位に多数の逆転を含むと考えるべき水準であり、採否に用いると誤選択の危険があります。
能力検査を外せない場合のコストメリット
| SPI3 Webテスティング | CUBIC | |
|---|---|---|
| 購入の選択肢 | 基礎能力検査+性格検査セット | 基礎能力検査分析・個人特性分析から選択 |
| 料金 | 4,000円/名 | 基礎能力検査分析 1,500円/名、個人特性分析 2,000円/名 |
| 検査時間 | 性格+基礎能力で約65分 | 能力 約4〜40分(科目による)、個人特性 約15〜20分 |
SPIとCUBICを比較するとき、CUBICの基礎能力検査のみを利用することに明確なコストメリットがあります。 ただし、能力検査が職務を予測する範囲は狭いことが分かっているため、適性検査選定の主目的にはなりづらい面があります。
CUBICの利用シナリオに当てはまらない部分は、この2つのサービス以外の方が目的に適合します。 性格検査は、Big Fiveを面接と採用後の共通軸として使います。
たとえば、情緒が安定しない人がメンタル不調で休職しがちな職場では、より高い情緒安定性を確認するのは合理的です。 このとき、情緒安定性をツール以外でも確認でき、一致することは大事です。
ビッグファイブのスコアは、専門の検査会社だけが意味を定義できる特殊な差ではありません。 観察誤差はありますが、独自尺度のように言葉から想起するものが性格を指していない可能性は除外できます。